人に話したくなるスターバックスの雑学
世界中で愛されるコーヒーブランド「スターバックス」。毎日のように利用していても、実は知られていないエピソードや意外な歴史がたくさんあります。
今回は、スターバックスの長い歴史の中でも特に「話したくなる」雑学を厳選してご紹介します。
ロゴに込められた意味から、エプロンの種類、失敗から生まれたヒット商品、そして世界中のユニークな店舗まで。
知ればきっと、次にお店でコーヒーを頼むのが少し楽しくなるはずです。
サイレンロゴの誕生秘話
1971年3月、シアトルのパイクプレイスマーケットでスターバックス1号店が誕生しました。共同創業者のゴードン・バウカー、ジェリー・ボールドウィン、ゼブ・シーゲルの3人は、ブランド名を『白鯨(Moby-Dick)』の登場人物「スターバック一等航海士」から採用しました。
次に彼らが考えたのがブランドの象徴となるロゴです。古い海洋書を調べている中で目に留まったのが、「二つの尾を持つ人魚=サイレン」という神話上の存在でした。サイレンは船乗りを惹きつける美しい声を持つ伝説の生物であり、スターバックスの原点である「港町シアトル」や「コーヒー豆が海を越えて届く」という航海の象徴と重なりました。
その後、ロゴは数回のデザイン変更を経て、現在はサイレンの顔を中心にシンプルに描かれたデザインに。「航海・探求・誘惑・コーヒーの香りで人を惹きつける」――これらすべての意味を込めて、スターバックスの象徴的アイコンとして愛されています。
エプロンに隠された意味と種類
スターバックスの象徴といえば、世界中のバリスタが身につける「グリーンエプロン」です。これは「お客様を歓迎する気持ち」と「コーヒーの専門性」を表すものですが、実は色や刺繍によって意味や役割が異なるエプロンが存在します。
主なエプロンの種類
- グリーンエプロン:全てのパートナー(従業員)が着用する基本の象徴。
- ブラックエプロン:「コーヒーマスター」と呼ばれる、社内認定試験を通過した知識豊富なバリスタに与えられる特別なエプロン。
- レッドエプロン:クリスマスシーズン限定。店全体をホリデームードで包む役割を担う。
- ブラウン×レザーエプロン:スターバックス リザーブ® ロースタリー専用。焙煎作業にも耐える丈夫な素材を使用。
- ASL(手話)デザイン入りグリーンエプロン:聴覚障がい者が働く「サイニングストア」で使われる特別デザイン。多様なコミュニケーションを象徴。
- アメリカ国旗刺繍エプロン:退役軍人やその家族への敬意を示す。
- 角帽刺繍エプロン:「スターバックス・カレッジ・アチーブメント・プラン」卒業生に授与されるもの。
このように、エプロンは単なる制服ではなく、“努力・専門性・多様性・文化”の証として機能しています。
失敗が生んだヒット商品の原点
1994年、スターバックスは「マザグラン(Mazagran)」という炭酸入りコーヒー飲料を発売しました。アイスコーヒーに炭酸を加えた斬新な試みでしたが、消費者の反応は「面白いけど微妙」「コーヒーとは違う」と賛否両論。結果的にヒットには至りませんでした。
しかしこの失敗は後に「フラペチーノ®」誕生のきっかけとなります。この製品開発の過程で、スターバックスは清涼感あるコーヒー飲料の需要に気づき、ペプシコ社と提携して「ボトル入りフラペチーノ®」を発売。これが大ヒットとなり、世界中にフラペチーノ®ブームを巻き起こしました。
つまり、マザグランは「失敗作」ではなく、革新の種を生んだ実験的な一歩だったのです。
世界のユニークな店舗たち
スターバックスは世界に3万店以上ありますが、どの店舗も「その土地の文化や人とのつながり」を大切にした独自デザインが特徴です。中でも特に個性的で象徴的な店舗をいくつか紹介します。
- チェコ・プラハ城店:歴史あるプラハ城の中にある店舗。中世の雰囲気をそのまま残し、石造りの内装と城下町の眺望が魅力。
- オランダ・アムステルダム店:旧銀行を改装。天井高のあるアートな空間に、オランダらしい木の温もりを融合。
- シアトル リザーブ® ロースタリー:かつての自動車ショールームを再利用。巨大な焙煎機とオープンな焙煎スペースで「コーヒー劇場」と呼ばれる。
- インド・女性限定店舗:全員が女性パートナーで運営。ジェンダー平等と雇用機会の創出を象徴する取り組みとして注目。
これらの店舗は単なる販売拠点ではなく、「地域の文化を表現するスターバックスの美術館」のような存在になっています。
世界最大のスターバックス ― シカゴ・ロースタリー
2019年にオープンした「スターバックス リザーブ® ロースタリー シカゴ店」は、世界最大規模(延べ面積3,251㎡・5階建て)を誇る旗艦店舗です。
店内では焙煎機が実際に稼働しており、訪れた人々が豆の焙煎工程を目の前で体験できます。中央には高さ17メートルの巨大スチール製キャスク(焙煎豆を熟成させる貯蔵樽)が設置され、店の象徴的存在に。
さらに、イタリアンベーカリー「プリンチ(Princi)」のパン工房、コーヒーカクテルを提供するバー、スパイラル状のガラス製エスカレーターなどが併設され、コーヒーとアートが融合した空間として人気を集めています。
ここは「コーヒー焙煎の芸術」を体験できる場所であり、“コーヒーの聖地”と呼ばれるロースタリーの最高峰です。
まとめ
これらの5つのストーリーからわかるのは、スターバックスが単なるコーヒーチェーンではなく、「文化・挑戦・デザイン・多様性・革新」を軸に進化し続けるブランドだということ。どの一杯にも、背景にある物語と人々の想いが込められています。

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