近道がいちばん遅い?琵琶湖から生まれた商売の知恵「急がば回れ」
早く結果を出したいときほど、すぐに効果が出そうな方法を選びたくなります。
しかし、近道には思わぬ落とし穴があります。そんなときに役立つ商売の知恵が、「急がば回れ」です。
「急がば回れ」の意味
急がば回れとは、急いでいるときほど、危険な近道ではなく、遠回りでも安全で確実な方法を選んだほうが、結果的に早く目的を達成できるという意味です。
単に「ゆっくり進もう」という教えではありません。失敗してやり直す可能性まで考え、最も確実な道を選ぶという、合理的な考え方です。
実は、琵琶湖から生まれたことわざ
「急がば回れ」は、次の歌に由来するとされています。
もののふの 矢橋の舟は速けれど
急がば回れ 瀬田の長橋
昔、東海道を通って京都へ向かう旅人には、現在の滋賀県草津市にあった矢橋(やばせ)の港から、琵琶湖を舟で渡る近道がありました。
舟は陸路より速い一方、強い風や悪天候の影響を受けます。舟が出なかったり、事故に遭ったりする危険もありました。
そこで、急ぐときほど舟に頼らず、遠回りでも現在の大津市にある瀬田の長橋(現在の瀬田の唐橋)を渡るほうが確実だ、と歌われたのです。
誰が作った言葉なの?
歌の作者には、主に2つの説があります。
- 平安時代後期の歌人・源俊頼が詠んだとする説
- 室町時代の連歌師・宗長が詠んだとする説
滋賀県立図書館の調査によると、室町時代の歌集『雲玉和歌抄』では源俊頼、江戸時代の笑話集『醒睡笑』では宗長の歌として紹介されています。
作者については断定できませんが、矢橋の舟と瀬田の長橋を比べた歌が、ことわざのもとになったと考えられています。
商売に置き換えると?
たとえば、売上を早く増やそうとして、準備をせずに広告費を一気に使ったとします。
商品ページや予約方法が分かりにくければ、アクセスが増えても購入にはつながりません。結局、ページを作り直し、広告もやり直すことになります。
一方で、先にお客様の声を集め、商品や導線を整えてから広告を出せば、開始は遅くても失敗を減らせます。
準備や確認は遠回りに見えても、やり直しを防ぐ最短ルートになるのです。
「急がば回れ」が役立つ3つの場面
- 新規事業:いきなり大きく始めず、小さく試して需要を確認する
- 人材育成:すぐに成果を求めず、基本を繰り返して土台を作る
- トラブル対応:思いつきで動かず、原因を確認してから修正する
まとめ
「急がば回れ」は、琵琶湖の危険な近道と、安全な陸路を比べた歌から生まれたとされることわざです。
商売でも、速さだけを優先すると、失敗ややり直しで余計に時間がかかります。急いでいるときほど、確実な手順を選ぶ。それが結果を早く出すための知恵です。
人に話すなら、この一言
「『急がば回れ』は琵琶湖生まれ。近道の舟より、遠回りでも安全な瀬田の橋を渡るほうが早い、という教えなんだよ」
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